ボツリヌス療法

脳卒中後遺症に対するボツリヌス療法


  院長 頃末 和良

恒生かのこ病院は脳卒中後の患者様が急性期病院を退院後、要介護状態にならないように、また、要介護状態でも自宅での快適な生活を長く送るためのお手伝いをする病院です。
脳卒中後の生活の質を低下させる大きな原因として痙縮があり、脳卒中の約4割の患者さんに出現します。当院ではボツリヌス療法とそれに続くリハビリで痙縮の出現を抑え、生活の質の向上を目指します。


脳卒中後遺症における痙縮(けいしゅく)とは

脳卒中の後遺症でよくみられる障害の一つに「痙縮(けいしゅく)」という症状があります。
痙縮とは筋肉が緊張しすぎて、手指が開きにくい、ひじが伸びにくい、足先が足の裏側のほうに曲がってしまうなどの症状がみられます。
脳卒中の発症後、時間の経過と共に麻痺と一緒にあらわれることが多い症状です。痙縮は、日常生活に支障が生じるだけでなく、リハビリの妨げにもなってしまう場合があります。また、痙縮の症状を長い間放っておくと、筋肉が固まり、さらに関節の運動が制限される「拘縮(こうしゅく)」という症状につながることもあります。ボツリヌス療法は痙縮に対する治療方法の一つです。

痙縮(けいしゅく)によるボツリヌス療法入院のご案内

痙縮を起こし、固く緊張した筋肉にボツリヌストキシンという薬剤を注射し、筋肉の緊張を和らげます。このように麻痺した手足の緊張が軽減することにより、着衣が容易になったり、歩行が改善します。そして、ボツリヌス治療で得られる効果を増強し、長期間持続させるために集中的なリハビリを行います。
このため、当院では入院ボツリヌス療法を推奨しています。ボツリヌス注射直後から集中的にリハビリを行い、筋肉のボツリヌスの吸収をより効果的に促進します。その後3週間にわたり促通反復療法や電気刺激療法などを利用した運動療法を行うことで機能回復や動作能力向上を目指します。

対象

16歳以上の脳卒中後の上下肢痙縮(けいしゅく)患者様

費用について

ボツリヌス療法は、医療保険の適用となりますが、注射薬そのものが非常に高価なため、医療費が高額になります。
医療費助成制度を利用できますので、(高齢)重度障害者医療費受給者証等をお持ちの方は、自己負担金が低額となる場合がございます。
また、高額療養費制度もございますので、詳細はお問い合わせください。

院内風景

病室
4人部屋(無料)、個室、2人部屋がございます
リハビリ室
大きな窓に囲まれた明るく、開放的なスペースには、いつも笑顔と活気があふれています


顔面攣縮(れんしゅく)によるボツリヌス療法のご案内

攣縮している筋に対してボツリヌス毒素製剤を注射することで神経筋接合部で神経終末に作用し、アセチルコリンの放出を抑制します。
これにより、アセチルコリンを介した筋収縮が阻害され、筋の攣縮および緊張を改善します。この作用によって、片側顔面輩縮を抑制させる治療です。

ジストニアに対するボツリヌス治療について


筋肉のつっぱり(痙縮)や異常な運動の姿勢(ジストニア)に対してそれらの筋肉に注射して治療を行います。
注射した部位に作用して、痙縮を和らげ痛みを緩和する効果が期待できます。

①眼瞼(がんけん)痙攣は、まぶたの筋肉が緊張して起こります。
 最初はまぶしさを感じる程度ですが、進行すると目をあけていられなくなります。

②痙性斜頸(けいせいしゃけい)は首の周りの筋肉が緊張して起こります。
 首がねじれたり、傾くことで、まっすぐに保つことが難しくなります。

③書痙(しょけい)手や腕の筋肉が緊張して起こります。
 ペンを握って文字を書こうとすると、ギュッと手に力が入ってしまって、書くという動作ができなくなってしまいます。

※他にも薬剤の影響で発症する自発性ジストニアもあります。

※ジストニアは脳や脊髄の異常で生じることもありますが、ほとんどは画像検査では異常が出ないため、実際の筋緊張の評価や筋電図検査を行い、症状と合わせて診断する必要があります。

★ジストニアは疑わないと診断できない病気です。目のまぶしさや目のけいれん、首のこわばり感、つっぱり感が気になる方は受診をご検討ください。


また、患者様の希望や病状により内服薬による治療や生活指導なども行っております。
顔面・頸部のこわばりで動きづらい方はボツリヌス治療か否かにかかわらず、お気軽にご相談下さい。

診察から治療までの流れ

武中医師の外来診察へお越しください。
※当院では、初めての方でも電話予約が可能です。
      
診察にて適応か判断させていただきます。
※診察当日に施注はできません。
      
治療のご説明をさせていただき、同意書を作成します。
      
日程のご相談後、予約日を決定します。
施注日:水曜日14:30/15:30
      
施注当日の注意事項をご説明します。
・アレルギー
・皮下出血がでた
・瞼が閉じにくくなった
・目が乾くようになった
・物が二重に見える
・注射部位が赤くなった
・腫れた、痛む
・身体がだるい
・効きすぎる

※ボツリヌス治療後、数日から2週間程度で効果があらわれます。
※ボツリヌス治療の効果は個人差があります。
※ 3~4ヶ月程度で徐々に効果が薄れてきます。

ボツリヌス治療を行う医師の資格について

ボツリヌス・トキシンは特別な講習を受けた専門医のみが注射できる治療となっております。
熟練した医師が最適な注射部位を同定し、適量を適切に注射します。
顔面に注射する場合は極めて細い注射針を使用しますので、ほとんど出血はありません。

当院で行うボツリヌス治療の費用は保険適応です。

(保険点数改正による料金変動有)

原発性腋窩(えきか)多汗症治療について

特別な原因がないのにワキに多量の汗をかく疾患を「原発性腋窩(えきか)多汗症」と呼びます。
当院では原発性腋窩多汗症にボツリヌス治療を行っております。
1回の注射で4~9ヵ月の間効果が持続しますので、年1 、2回程度の治療で汗を抑えることができます。
※原発性腋窩多汗症は保険診療で治療できます。
(・約2万円/3割負担の方)

診察から治療までの流れ 所要時間:1時間程度

武中医師の外来診察へお越しください。
※当院では、初めての方でも電話予約が可能です。
      
原発性腋窩多汗症の診断基準に基づき、ボツリヌス注射の適応であるか判断します。
適応であれば治療の説明を行い、同意書を作成します。
      
日程のご相談後、予約日を決定します。
施注日:水曜日14:30/15:30
      
施注当日の注意事項をご説明します。
 

【施注当日の流れ】
・施注当日は腋窩が見やすい肌着、ノースリーブ、タンクトップを着用し来院してください。
・腋毛は事前に剃って来院してください。
・施注前に油性ペンでマーキングを行います。
※当院では麻酔は使用せず、痛みを和らげるためクーリングを行います。
・施注部位を確認後、ボツリヌス注射を行います。
※左右各20カ所程度

※ 2回目以降の注射は電話でご予約いただけます。

副作用について
・腫れや赤み
・肌のツッパリ感や熱感
・内出血
・筋肉痛
・硬結
・握力低下

地域包括ケア病棟とは

1.事前のご準備

かかりつけ医、主治医等にご相談の上、事前にお電話でお問い合わせください。受診の際にはかかりつけ医の紹介状をお持ちください。

2.入院までの流れ

受診後、ボツリヌス療法入院適用となりましたら、入院前検査を行い、入院日の調整をします。
※ボツリヌス施注は月、金曜日の午後に実施

3.入院後の流れ

              (例)

1日目 木曜日午前入院
リハビリ担当者による問診、身体機能評価、
施注筋の選定、目標設定を行います。

2日目 
ボツリヌス施注後、集中的なリハビリを行い、
筋肉内にボツリヌス毒素を拡散させます。

3日目以降 
1日2回、集中的なリハビリを行います。
退院前日は最終評価を行い改善点等の説明を行います。

3週間後の水曜日
主治医からの説明後、次回の外来・入院予約をとり、
午前退院となります。

4.退院後

次回からは、入院予約の1週間前に外来へ  お越しいただき、入院前検査を受けて下さい。

お問い合わせ

お問い合せ・予約専用ダイヤル

TEL 078-277-1611
予約受付時間 13:00~17:00

完全予約制

ボツリヌス療法の初回受診、ご相談は上記の「予約専用ダイヤル」にお電話の上、ご予約(金曜日午前)をおとりください。
※外来での施注をご希望の方は、ご相談ください。


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